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「酒」の章

酒蔵体験ツアー(春) 「水」を知る

6月1日(土)、酒蔵体験ツアーの参加者は、午前9時50分にJR西条駅構内の観光案内所前に集合することになっていた。

そのため、7時58分福山発のJR山陽本線で西条へ向かう。

西条にはは9時20分に到着。

まだ時間があるので、ホテルに宿泊用の荷物を預けて集合場所へ。

ツアーの主催者である賀茂鶴酒造さん(東広島市西条)の天畠(てんばた)さんの引率で、同社に移動。

そこで約1時間のオリエンテーションを受ける。

JR西条駅

酒蔵体験ツアーの概要

「酒蔵体験ツアー」は昨年に続き今年で2回目。

春に田植えして、秋に稲を刈って、冬にそのお米でお酒を造るという、まさにプレミアムな体験ツアーである。

で、今回は春の体験ツアーでテーマは「水」。

1泊2日のスケジュールは次の通り。

■1日目(6月1日):

10:00 オリエンテーション(賀茂鶴酒造)

11:00 竜王山散策

12:00 昼食(くぐり門珈琲)

13:30 酒米田植え体験(高屋町造賀地区)

16:30 ホテルチェックイン

18:00 杜氏と楽しむ美酒鍋(佛蘭西屋)

■2日目(6月2日):

8:00 茶道体験(安芸国分寺)

10:00 酒蔵通りガイドツアー

12:00 解散

という具合だ。

今回の酒蔵体験ツアーの参加者は私を含めて6名(定員は8名だったが)。

移動時間の長い順に、埼玉県の川越から、愛媛県の今治から、大阪から、福山から(私)、広島市内から、そして西条在住の人。

楽しい2日間になりそうだ。

西条の「水の秘密」を学ぶ

日本酒の成分のうち約8割は水である。

つまり、水質がお酒の味わいに大きな影響を与えるというわけだ。

西条の酒蔵で使われる水は、龍王山から流れてきた伏流水をくみ上げて使っているという。

オリエンテーションが終わって、水源となっている龍王山に向かう。

車で約15分ほど走ると、龍王山の湧き水が出ているポイントに到着した。

龍王山の湧き水

車を降りて早速湧き水を試飲する。

ん? かなりやわらかい口当たりで飲みやすい。

案内人の説明によれば、この湧き水の硬度は約15mg/Lで軟水。

一方、西条の酒蔵が使っている井戸水の硬度は平均で約70mg/Lで中硬水とのこと。

山の湧き水とは硬度がかなり違う。

この違いの理由は、山を登る途中にある憩いの森公園内に剥き出しになっている「断層」であると説明を受けた。

つまり、龍王山に降った雨水がこの断層の隙間から地層に入り込み、ミネラルを取り込みながら長い年月をかけて酒蔵のある地下まで流れこんでいる、というわけだ。

西条の酒蔵は、この適度な中硬水となった地下水をくみ上げて「仕込み水」として酒造りに使っている。

水の硬度とは、水に含まれるマグネシウムやカルシウムなどのミネラル成分の含有量のこと。

特に、カリウム、リン、マグネシウムは、酵母や麹菌の栄養源となるので必要だ。

水の硬度の違いにより菌の繁殖具合が変わるので、酒質にも影響するというわけだ。

なので、「龍王山の断層が西条の酒質を生んだ」と言っても過言ではない。

剥き出しになっている断層

「水」の飲み比べに挑戦!

昼食は、「くぐり門珈琲」という喫茶店でスペシャルランチをいただく。

パン生地に酒粕を練りこんだ「酒粕チーズトースト」と、米粉を使った鶏のから揚げ「コメカラ」のセットだ。

午前中、山歩きをしておなかはペコペコ。

しっかり食べて、午後からの田植え体験に備えないと。

酒粕チーズトーストとコメカラ

そして、おなかも落ち着いた頃、参加者全員に「A」「B」「C」と書かれた試飲用のプラスチックカップが配られた。

「利き酒」ならぬ「利き水」タイム!

カップには硬度が違う「お店が使っている仕込み水」「エビアン」「コントレックス」が入っている。

硬度は、それぞれ約70mg/L、304mg/L、1468mg/L。

はたして、見事当てることができるのか?

「仕込み水」はすぐわかった。

口当たりがやわらかくて、他の2つとは全然ちがう!

ただ、「エビアン」と「コントレックス」は、どちらも口当たりがシャープで最初は間違ってしまった。

ただ、答え合わせの後で、やはり両者にはシャープさに違いがあることがわかった。

おそらく、食後だったので、少し味覚がぼけていたのだろう(言い訳)。

余談だが、この日の夕食会で同じく「利き水」をおこなった。

ただし、この時は「仕込み水」と「エビアン」の2種類。

さすがに、これは外さなかった。

仕込み水、エビアン、コントレックスの違いがわかるか?

酒蔵の仕込み井戸

JR西条駅の周辺には7つの酒蔵が集まっており、各酒蔵は仕込み水の井戸を一般に開放している。

どの酒蔵も龍王山からの伏流水をくみ上げているが、場所や深さによって水の硬度が違っているようだ。

一般には公開されてないが、仕込み水の硬度は大体40~90mg/Lとのこと。

これが、各酒蔵が醸す日本酒の味わいの違いにつながっている。

あらためて「水」は日本酒を造る上で大切な要素だと認識した。

亀齢(左)、賀茂鶴(右上)、山陽鶴(右下)
西條鶴(左上)、白牡丹(右上)、賀茂泉(左下)、福美人(右下)

締めの一杯!

初めて酒蔵体験ツアーに参加し、まずは「水」の大切さを再認識した。

日本酒の約8割は水だ。

仕込み水をアピールした日本酒があってもいいと思う。

あと、「水の飲み比べ」は面白かった。

仕込み水と硬水との飲み比べに加えて、龍王山の湧き水(約15mg/L)と酒蔵の仕込み水(約70mg/L)との飲み比べがあってもよかったかな。

そして、今回のツアーへの参加を決めた理由の一つに「田植え体験」がある。

これは、次回報告したい。

今宵は、「水」のありがたさを実感して、日本酒で「乾杯!」

冷やしても、常温でも、熱燗でもイケる「賀茂鶴 本醸造上等酒」で乾杯!

作成者: めんさん

広島県福山市在住の中小企業診断士。広島県中小企業診断協会正会員。カープを科学する研究会会員。知的資産経営研究会会員。
日本酒学講師(SSI認定)/唎酒師(SSI認定)/国際唎酒師(SSIインターナショナル認定)/焼酎唎酒師(SSI認定)。
日本酒好き、特に広島のお酒。
広島カープ、ユニコーン、名探偵コナンの大ファン。
趣味は飲み歩き。

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