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中小企業診断士への道 いざ実務補習へ!

中小企業診断士試験の2次試験に合格しても、中小企業診断士として登録するためには、3年以内に「実務補習」を15日以上受けるか、「診断実務」に15日以上従事する必要がある。

実務補習とは、診断士見習いが5~6名でチームを組んで実際に企業を訪問して、ベテラン診断士の指導を受けながら、企業診断の実習をおこなうことである。

実務補習には5日間コースと15日間コースがあるが、15日間コースは5日間コースを連続して3回受講するということ。

両コースを比較すると、基本的に個々の補習内容もトータルの受講料金も変わらない。

強いて言えば、15日間コースは最短で中小企業診断士として登録できるというメリットはある。

ただし、名称は「5日間コース」だが、事前準備から診断先への報告会終了まで合わせると約2週間要することになる。

つまり、15日コースになると約6週間拘束されることになるので、会社員には少々ハードルが高いかもしれない。

ちなみに開催地は、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡の7カ所のみ。

私のような地方都市の住民は、ホテルの予約も必要になる。

5日間コースの概要

各コースは大まかに以下の日程で行われる。

●事前に指導員の先生から、診断先の大まかな情報などが送られてくるので、指導員の指示に従って事前準備を行う(事前準備の内容は指導員によって異なる)。

●1日目(金):午前中は班のメンバーの顔合わせ・名刺交換、班長の決定、各自の担当決め(基本的に班長は経営戦略と全体取りまとめを担当)、訪問企業へのヒアリングの準備など。午後から診断先企業を訪問してヒアリングを実施。

※経営戦略(班長が担当)以外は、財務・会計、人事・組織、マーケティング、製品開発、生産、情報化など診断先の業態にあわせて分担する

●2日目(土):前日のヒアリングのまとめ、各パートごとに現状の問題点、課題、提言内容の方向性の確認(これが結構重要)。各自で報告書の作成作業。

●翌日(日)から6日間:各自の自宅で作業。途中、期限を決めて各パートの報告書案を提出。

●3日目(土):各パートの報告書の内容をみんなで討議、各自修正作業。

●4日目(日):前日の続き。「経営診断報告書」として完成させて、製本。

●5日目(月):報告会のリハーサル。再び診断先企業を訪問して報告会の実施。

というように、5日間コースと言っても、指導員の先生と班のメンバーと一緒に作業をするのが実質5日間ということだ。

なので、実際には11日間+事前準備日数はこの実習にかかりっきりになる。

15日コースは、このパターンを3回連続でこなさなければならないので、実習期間中に休日はない。

ちなみに、金曜日に始まり月曜日に終わるのは、診断先企業の営業日を考慮して、初日にヒアリング、最終日に報告会を予定しているからだ(なぜか名古屋だけは初日が木曜日)。

この5日間の実習を無事終えると、最終日に「実務補習修了証書」がもらえる。

そして、この修了証書を3枚集めれば、やっと経済産業大臣あてに「中小企業診断士登録申請書」を提出できるのだ。

実務補習テキスト

初回の実務補習を申し込む際、「実務補習テキスト」も購入することになっている。

このテキストは、中小企業診断協会が編集した事実上の「診断報告書作成マニュアル」である。

その内容は、実務補習を受ける際の一般的な注意事項やSWOT分析・PPM分析などの基本的な戦略フレームワークが掲載されているが、特に注意を要するのは、診断報告書を作成する上で重要な「決まり事」が記載されてある点だ。

例えば、報告書の構成は、①表紙、②目次、③総括低減、④提言チャート、⑤重要提言要約総括表、⑥本文、⑦添付資料という形で作成しなければならない。

しかも、A4サイズで原則として90ページ以内(表紙、目次除く)の制限がある。

表紙の様式はないが、「業種」「地区名」「班名」「診断先名」「㊙マーク」「報告会日程」「中小企業診断協会のロゴと法人名」は必ず記載しないといけない。

また、文章を作成する際にも基準がある。

例えば、項目番号を記載する際は、大きい順にⅠ(ローマ数字)、1、(1)、①、aを使用するよう標準化されている。

金額の単位も、「百万円」「千円」を使用するよう決まっている。

また、年号も暦年ではなく「和暦」を使用するなど、様々な決まり事があるが、数人のチームでひとつの報告書を作成するのだから、読み手側の立場で考えると必要なことだ。

なので、実際はMS-WORDを使い、見出しはゴシック体、本文は明朝体とし、また、見出しも大項目、中項目、小項目ごとにフォントサイズを変えたものを標準として用意しておき、各メンバーはその標準フォームを使って報告書を作成する。

ここまで標準化しても、実際には「~します」「~いたします」「~致します」など人によって表記が異なることが多々あるので、その都度メンバー間で確認し、表現を統一する作業が必要になる。

実際に使用した実務補習テキスト(全94ページ)

参考書(おまけ)

初回の実務補習は、広島で開催される5日間コースに申し込んだ。

初めて社外の会社の経営診断を体験することになるので、事前勉強として以下の参考書を購入した。

○コンサルタントのフレームワーク(同友館):

実務補習用に最も使われているというネット書き込みを見て購入したが、実務補習で使うことはほとんどなかった。

○事業デューデリジェンスの実務入門(中央経済社):

本書は事業デューデリの基本書だが、診断報告書を作成する際の流れとアウトプットをイメージすることができて大変参考になった。

事前に購入した参考書

締めの一杯

さて、企業診断の大まかな流れもわかったし、どんな会社に出会うんだろうとワクワク感が半端ない!

今宵は、いよいよ初めて挑む実務補習に「乾杯!」

天山酒造 七田 無濾過生純米酒

作成者: めんさん

広島県福山市在住の中小企業診断士。広島県中小企業診断協会正会員。カープを科学する研究会会員。知的資産経営研究会会員。
日本酒学講師(SSI認定)/唎酒師(SSI認定)/国際唎酒師(SSIインターナショナル認定)/焼酎唎酒師(SSI認定)。
日本酒好き、特に広島のお酒。
広島カープ、ユニコーン、名探偵コナンの大ファン。
趣味は飲み歩き。

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